ご本人が日常的な事柄は一人でできても、認知能力・判断能力が相当程度低下していて重要な財産を管理・処分を一人で行うのは不安な場合が多いというときは、申立てを受けて家庭裁判所がご本人の保佐人を選任します。
保佐人が法的に支援することで、ご本人(被保佐人)の生活や財産を保護することができます。
家庭裁判所が保佐開始の審判を出す目安としては、ご本人の認知能力・判断能力が長谷川式簡易知能評価スケールで11点以上15点以下又は認知機能検査(MMSE)で15点以上17点以下であること等が一応の基準とされています。
家庭裁判所が保佐の開始を認めると、民法13条1項各号に定められた行為については、保佐人に同意権が与えられることになります。それにより、保佐人の同意権が与えられている法律行為を、ご本人(被保佐人)が単独で行った場合、保佐人はご本人(被保佐人)の法律行為(たとえば、契約締結行為)を取り消すことができます。
後見の場合と異なり、保佐の場合にはご本人(被保佐人)は財産管理権を失わず、原則として自分の財産を自分で管理することになります。
また、後見人(後見の場合)とは異なり、保佐人(保佐の場合)にはご本人(被保佐人)に関する包括的な代理権が付与されているわけではありません。
しかし、個別具体的な事案において特定の事項に関しては保佐人に代理権を付与した方が良い場合もありますので、法律上家庭裁判所は保佐開始の審判と同時に特定の法律行為(例えば、不動産の処分行為など)について保佐人に代理権を付与することができます。特定の法律行為について保佐人に代理権が付与されている場合、その法律行為についてご本人(被保佐人)自身が行わなくても保佐人が代理人として単独で行うことが出来ます。
認知能力・判断能力に不安があるときには、当事務所へ是非ご相談ください。